④短期バイトのごとく会社を辞める日々

大手の証券会社を辞め、実家に戻った僕。

その後、アルバイトをしようと思ったけど、やっぱり正社員で働くことになります。

大卒で、しかもこの歳でフリーターになる、ということに、周りの目を気にしてしまったからです。

 

とはいえ、正社員で入った会社もまったく自分に合いません。

嫌なことばかり続きます。

いつのまにか、再び転職活動をはじめる自分がいたのです。

 

またしても転職…心配性で中途半端な自分

パワハラ・セクハラ上司がいる会社なんて未来が無い。

しかも、上司の上司、社長など役員でさえ、そんな上司に指導もせず放置している状態。

 

さらにもっと致命的なのは、仕事は簡単ではあっても、残業がけっこうあったんですよね。。。

なので、漫画を描く時間は平日は、ほとんど取れない状況でした。

 

これじゃあ意味ないな、昇格すればさらに時間が無くなるだろうし、当初の「漫画を描く」という目的が果たされない。

でも、ここで辞めたら、どんだけ忍耐力のない人間だと思われてしまうし、ダメ人間だなと。。。

 

そんな時にふと不安になりました。

もしも、この状態で漫画を続けて、結局10年後に芽が出なかった場合どうする?

10年間、なんのスキルも実に着かない会社にいて、自分はどうなっちゃうんだろうと。。。

 

 

どうせなら、漫画がダメでも、本職の方で挽回できるような職場がいいなと思ったのです。

さあさあ、ここでまた、中途半端な自分が出てきました!

保険を考えて何かを目指すというズルイ自分です。

 

資格が取れるような会社に入ろう!

思い立ったら吉日。

転職活動に本腰を入れるために、すっぱりと会社を辞めました。

当然、親は呆れています。

でも、自分のことですし、今度こそ、グッドアイデアだと思っていますから、そそくさと次の職を探すために職安に通います。

 

その時は、もうある程度、業種は絞っていました。

それは、社会保険労務士事務所です。

 

大学時代は法律を専攻してましたし、労働法も取りましたし、まったくもって適職だと思ったのです。

すごい「ひらめき」だと思ったんです。

社会保険労務士という資格も取れば、漫画がダメでも資格で食べていけると、そう考えたのです。

 

そして、1件の社会保険労務士事務所を探しまして、まもなく入社したのです。

将来的な幹部候補として、ぜひ入社してほしいと所長に歓迎されました。

 

もちろん、転職活動中には、どこの労務士事務所も大歓迎でした。

いくつか「来てくれ」と言われた中で1つだけ選ぶのは心苦しかったですが、

一番、将来性のありそうな社員数名ほどの事務所に就職したのです。

 

社会保険労務士の仕事に対する誤解

ところが入所して早々に、ギャップを感じます。

カルチャーショックと言いましょうか、「なにこれ!?」って思うことが続発したのです。

 

まず、おどろくほど雑用ばかりの毎日でした。

そこに、知的な業務は皆無と言っていいほど、ありませんでした。

つまり、仕事が前にも増して「つまらない」のです。

 

(1)封筒に書類を詰める仕事

(2)顧問先にその書類を渡す仕事

 

これだけです。。。

書類を作る仕事がキモだと思っていたんですが、それができるのは原則として先生だけです。

何年か勤務している女性の仕事をみても、やっぱり上の2つがメインです。

 

これはキツイ!!!

 

しかも、面接のときはにこにこして優しかった所長さんがすごく怖い。

毎日、女性事務員が泣いているという異常な状況。。。

 

もちろん、ぼくも所長には怒られてばかり。

しかも、怒られる内容がまた、当時の僕からするとバカみたいな理由なんですよ。

 

「封筒の口をテープで止める時の止め方が悪い!」

とか・・・。

「顧客へ行くのに地図なんか見るな! 感覚で覚えろ!」

とか・・・。

当時はナビなんかまだまだ普及品ではなかったですから、客先に封筒を届けるのにも地図を見ながらでした。

しまいには、

「道が覚えられないやつは、この業界でやっていけないぞ!」

なんて言われまして。。。

これが社会保険労務士の実体化と思ったら、落胆の色を隠せませんでしたね。

だんだんと、暗い気分になっていく自分がいました。

 

困った人ばかりで、もう降参です!!

所長だけならまだしも、事務員も困った人がいまして。。。

ある時ベテラン事務員のオッサンと一緒に顧客に書類を届けに行ったんです。

あれは酷かったなあ・・・。

 

狭い道に入ったら、オバチャンの運転する対向車が来まして。

狭い道だったんですれ違いが難しく、どうするのかなと見てたらビックリです!

オバチャンに向かって「どけー!」と言いながら、クラクションをブーブー鳴らしまくるじゃありませんか!

 

オバチャンも泣きそうな顔で車を寄せるんですが、なおかつ「ブーーーー」っとクラクションを鳴らし続けるベテラン事務員。

おばちゃんも、車の中で「これでどうですか?」と言っているように見えます。

オバチャンなんで、車の運転下手ですし、うまく寄せられません。

それでもベテラン事務員、窓を開けて「邪魔だ―!通れるわけねえだろ!どけーーーー!」と叫びます。

 

住宅街です、近所のオバチャンも出てきました。

一人の近所のオバチャンが、そのオバチャンの車を誘導して、隅に寄せてくれました。

ベテラン事務員、何もなかったかのように通り過ぎて終了。。。

実はこのベテラン事務員が番頭みたいな人で、所長の次「ナンバー2」です。

マジでキツイ、辞めようと思い始めました。。。

 

もう無理、辞めます、その期間2週間・・・

所員は5名ほど、先輩の女性事務員さんも3人ほどいました。

ある時、その一人と客先に書類を渡しに行きました。

すると、適当な雑談の中、ふと女性事務員からこんなことを言われたんです。

「たまには、どっかに連れて行ってくださいよ」

僕はもうびっくりしちゃいまして、女性からそういうこと言ってくるもんなんですね。

正直、なんにも返せませんでしたよ。苦笑

 

そもそもタイプじゃなかったですし、しかし先輩だし、

そして「やだよ」とも言えませんし、しかも仕事中ですし。。。

もう「はぁ?」とか言うのが精いっぱいでしたよ。

 

これもう、マジで、これからやりにくいんですけど、どうしてくれるんでしょうね!

 

ナンバー2は性格異常だし、所長は毎日キレてるし細かいし、女性事務員も毎日泣いてるし、

もう一人の事務員とは気まずいし、正直「辞めない理由はないな」と思ってしまいました。苦笑

 

はい、まだ2週間です。

こういうのを「辞め癖」というのでしょう。

ここまで来たら、どれだけ辞めても同じだと思い始めました。苦笑

これじゃあ、正社員で就職したのか、短期バイトなのか、わかりませんよね。

 

情けなくて「わーっ!」と叫ぶ自分

そして、2週間という短期間で、所長に辞めたいですと伝えました。

実は「辞めます」って伝えた日は、朝から無断で休んじゃったんですよね。

もちろん、親には会社に行くと伝えて、家を出ました。

家を出てから、その辺を車でフラフラして、昼くらいに所長に電話して「すみません、辛いので辞めます」と。。。

 

所長も、「所員がみんな帰宅したら顔を出せ、話をしよう」と言ってくれました。

辞めるとなったら急に優しくなったんですが、引き留めるわけではありませんでした。

「やっぱり無理だったか」というような、あきらめの表情で丁寧に退職の手続きをしてくれたのでした。

そして、すんなりと退職できました。

 

その日、友達に電話しました。

「ちょっと会おう、愚痴を聞いてくれと。」

この時ほど、自分が情けなくて、一人でいるのがつらいと思ったことはありませんでした。

港の近くのファミレスで話をしたような記憶があります。

良い友達ですね。

 

そして、一通り愚痴を聞いてもらっても、やはりまだ気持ちは収まらず、

家には帰らずに、夜中ずっと港近くの車がほとんど通ってない道路を、ぐるぐると一人で走り回りました。

車の中だから聞こえないと思って、大きな声で「わーーーーーーーーー!」と叫んだ記憶があります。

 

叫んでもまったくスッキリしませんが、思わず叫びたくなるくらい、精神的に参っていたんだと思います。

もちろん、自分の不甲斐なさに嫌気がさしての叫びです。。。苦笑

 

さあ、これからどうしましょう?

 

<オマケ>

むかし僕の主催してた漫画サークルの会報に載せてた4コマ漫画です。

「漫画家を目指した話」シリーズの末尾に1本ずつ載せてますので見てね。

 

 

https://inumakedon.com/freeter-teihen/

 

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