【長南町・笠森観音】黒招き猫と天空のパワースポット

「ちょっと寄っていこうかな?」と思いつつもスルー。

以前から前の道を通るたびに気になっていた笠森観音に今さらながら行ってきました。

思ったよりも楽しく、興味深いものもたくさんあったのでご紹介します。

地元の人も(そうじゃなくても)、ぜひぜひ行っておくべきお寺です!

 

レイラインにあるパワースポット笠森観音

パワースポットと言うと、ついつい神社が思い浮かびますが、笠森観音はお寺です。

やはり、神社でもお寺でも聖なるものは聖なる場所にあるのでしょう。

実は笠森観音は、レイライン上にあるパワースポットでもあるのです。

 

ところで、レイラインとはなんでしょうか?

笠森観音の公式ホームページでは以下のように説明されています。

春分の日と秋分の日に、太陽が通る道。北緯約35度23分を結ぶ直線上には、地理的な名所、歴史的な建造物が立ち並ぶ。
太陽が昇る東は、千葉県の玉前神社から、西は島根県出雲大社までを結ぶ線は、御来光の道(レイライン)として知られ神秘的なパワーをもらたすと言われています。

(1)玉前神社(千葉県) (2)笠森観音(千葉県)
(3)寒川神社(神奈川県) (4)富士山(静岡県・山梨県)
(5)七面山(山梨県) (6)真清田神社(愛知県)
(7)南宮大社(岐阜県) (8)伊吹山(滋賀県)
(9)竹生島神社(滋賀県) (10元伊勢内宮皇大神社(京都府)
(11)三徳山三佛寺(鳥取県) (12)大山(鳥取県)
(13)出雲大社(島根県)

【公式】笠森観音

春分の日と秋分の日に太陽が通る道、北緯約35度23分を御来光の道(レイライン)と呼びます。

この御来光の道(レイライン)には、富士山や元伊勢、出雲大社などの有名どころパワースポットも名を連ねます。

そのひとつに笠森観音もあるのです。

個人的にレイラインはよく聞くワードでしたが、笠森観音は盲点でした。

 

じゃあ、笠森観音ってどんなお寺なんですか? って話ですが。

これがまた、すごいお寺なんです。

このお寺を建てたのは、あの有名な最澄という僧侶です。

教科書にも出てきますから、知らない人はいないでしょう。(多分)

比叡山延暦寺で有名な天台宗の開祖ですね。

しかも、笠森観音は「別格大本山」ですので、お寺の本拠地である「大本山」に次ぐ扱いです。

つまりは、とても格の高いお寺ということがわかりますね。

 

・・・補足ですが「レイライン」というのは、一般には「直線的に並べて建造された古代遺跡等」のことを指します。

宗教的な意味合いで意図的に直線にならべたのか?

または、線上になにかパワーを感じる人がいて、その人の指示で建てたのか?

本当のところはわかりませんが、そこになにか意味があるのは間違いないでしょう。

 

笠森寺自然林は巨木の森のパワースポット

というわけで、さっそく笠森観音に行ってみましょう。

割と広い町営駐車場に車を停めますと、すぐに入り口が見えます。

うっそうとした森の中を入っていきます。

パワースポット感があふれておりますな。

さて、入口になにやら大きな看板があるので、いちおうチェックしておきましょう。

「ようこそ! みどりの風とやすらぎの里・長南町へ」

長南町のゆるキャラ「ちょな丸」がお出迎えです。

顔がぶつぶつですが、レンコンでしょうか。

 

こちらは、笠森観音周辺の案内図です。

このあたりは「公園」ってことになっているんですねえ。

弁天谷池や展望台の方まで行かなかったですが、次回は行ってみたいですね。

ちなみに看板左にある「ユートピア笠森」ってなんでしょうね?

人類が探し求めた理想郷「ユートピア」が笠森にあったということでしょうか?

ぜひ行ってみたいですが、まさか、老人福祉施設じゃないよね?

 

それはさておきまして、今日行くのは、看板右側の笠森観音堂のみです。

「山寺あるある」長い石階段を登るぞ!

さて、山にあるお寺と言えば長い階段。

これはもう「山寺あるある」でしょう。

ここ、笠森観音もこのとおり、さっそくウンザリする光景……。

しかし、途中にいろいろと見るべきものがありまして。

登り疲れることもなく、楽しみながら目的地へ行けそうです。

名木「三本杉」

ずんずんと歩いて行きますと、大きな杉の木。

こちらは、名木「三本杉」です。

よくみると、三本のうち二本は根元のあたりでくっついてますね。

しかし、立派な杉の木です。

こちら、角度を変えて見た写真です。

 

ここ、笠森寺自然林には、このような巨木がたくさんあります。

巨木のある場所というだけで、そこはもうパワースポットと言えますね。

むかし行った戸隠を思い出しました。

笠森熊野神社

さて、観音堂へ向かう途中に笠森熊野神社がありました。

赤い鳥居から脇に入っていくと、まもなく本殿です。

階段が巨木に押されて傾いてますね。

こちらも参拝して先へ急ぎます。

松尾芭蕉の句碑

観音堂へ向かう途中、次に見つけたのは松尾芭蕉の句碑。

こちらは、上総最古と言われております。

「五月雨に此笠森をさしもぐさ」と書かれております。

ちょっとなに言ってるかわかんないですね。

「さしもぐさ」というのはヨモギのようです。

霊木「子授楠」

途中、霊木「子授楠(こさずけクスノキ)」という、大きな穴が開いた楠の木がありました。

この楠に空いた穴を通り抜けることができると子授観音様のご利益があるそうです。

しかも、男性→女性の順にくぐならいといけないらしいです。

が、なぜかここに子供がウジャウジャおりまして、さすが子授楠だなあと思った次第です。苦笑

 

ちなみに笠森寺は、天台宗開祖の最澄が十一面観世音菩薩をまつることで開いたお寺です。

この十一面観世音菩像も、最澄がみずから楠から掘ったみたいです。

やはり、笠森の楠には神秘が宿っているのかもしれませんね。

天然記念物「笠森自然林」

さて、ずんずんと進んでいくと記念碑がありました。

なんと、ここは天然記念物だったんですねえ。

これ、読むとすごいですよ。

笠森寺のできた当時から、この森は伐採を禁じていたと書かれてます。

ということは、やっぱり「神聖」な森であるということですね。

と、たのしい巨木ツアーが終わるとついに見えてきました。

笠森寺の立派な山門です。

うんざりとするほどの長い登り階段かと思ったら、わりかし「あっ」という間のゴールでした。

この日は真夏の炎天下でしたけど、大したて疲労感なく登れて良かったです。

 

笠森寺山門の強面キャラ

さて、笠森観音の山門ですが、パンフによると山門は二つあります。

正面入り口の二天門と、観音堂のわきの仁王門です。

(見てないですが、多分)仁王門には仁王像があるんだろうと思います。

そして、こちらの二天門にも、仁王像ではないけど怖い顔した木彫りの像が格納されております。

荘厳な山門ですねえ。

で、ちらっとのぞきましたら…。

怖っ!

この「顔」はちょっとやり過ぎじゃないですかね。

イっちゃってますよね。

 

そして雷神です。

風神よりは穏やかな顔つきですな。

いや、どっちもどっちだなあ。

そして、山門の中の小さな部屋みたいなところにも恐ろしき人物が格納されております。

閻魔です。

すげえ顔赤いじゃん……。

そして、こちら。

地味に怖い……。

なにこれ……。

調べますと、右の婆さんは「奪衣婆(だつえば)」といって、三途の川の辺にいるキャラみたいです。(キャラて…)

奪衣婆の役割は死んだばかりの人が生前にどれだけ悪いことをしてきたかチェックすること。

三途の川を渡ってきた亡者の着ている服をはぎ取って、木の枝に引っかけて、その枝がしなるほど罪が重いとのこと。

要するに、罪の重い者は、三途の川を渡る時に流れが速くて深い場所をとおらなければならないため、衣服が濡れて重くなるという理屈です。

 

「オマエ、ビショビショやないか!」

 

とか言うんでしょうねえ。

で、となりに座る坊さんのようなキャラは懸衣翁(けんえおう)と言って、婆さんのアシスタントの爺さんみたいです。

奪衣婆(だつえば)は、三途川(葬頭河)で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼。脱衣婆、葬頭河婆(そうづかば)、正塚婆(しょうづかのばば)姥神(うばがみ)、優婆尊(うばそん)とも言う。

多くの地獄絵図に登場する奪衣婆は、胸元をはだけた容貌魁偉な老婆として描かれている。例えば『熊野観心十界曼荼羅』に登場する奪衣婆は獄卒の鬼よりも大きい。日本の仏教では、人が死んだ後に最初に出会う冥界の官吏が奪衣婆とされている。奪衣婆は盗業を戒めるために盗人の両手の指を折り、亡者の衣服を剥ぎ取る。剥ぎ取った衣類は懸衣翁という老爺の鬼によって川の畔に立つ衣領樹という大樹に掛けられる。衣領樹に掛けた亡者の衣の重さにはその者の生前の業が現れ、衣が掛けられた衣領樹の枝のしなりぐあいで罪の重さがはかられ、その重さによって死後の処遇を決めるとされる。

奪衣婆

さて、このように山門に怖い人ばっかりいるということは、つまり、ここで悪い人(や霊?)を通せんぼするという意味もあるのでしょう。

または、ここから先は、現実世界と異界・霊界の間ですよと伝えたいのかもしれません。

どっちにしても、このようなキャラは昔の人からすると、とても怖くてありがたいものであり、一種の観光の目玉だったのかもしれません。

江戸時代の観音巡礼ブームもあいまって、こういうキャラを目当てに参拝客がやってくる、という要素もあったみたいですよ。

くろねこカフェでまったり

さて、怖いキャラのお出迎えから一変してまったりな雰囲気。

恐ろしい山門をこえた先にたたずむ昭和な長屋。

真夏だからか参拝客は少なめですが、思わず足を止めて茶屋で一息つきたくなりますね。

ちなみに、小屋のような建物のテナント(?笑)に「縁起家 古壺」、「くろねこカフェ」というお店が入ってます。

くろねこカフェで注文した抹茶や団子などは、外で食べることができるようです。

大きな朱色の野点傘(のだてがさ)の下でマッタリしたいものですな。

 

で、もう一軒は「縁起家 古壺」というお守りとか縁起物を扱うお店。

ここに、「黒招き猫」なるものが売ってまして、これがまた福を呼ぶということでかなり評判がいいみたいです。

そもそも招き猫ってのは商売繁盛の縁起物として有名です。

どっちの手を上げているかでご利益が異なり、右手を上げる猫は金運、左手は千客万来です。

ぼくも自営業者なので、一家に一台、いや一匹は必要かと思うんですが、我が家には犬がいるんですよね。(関係ないだろ。笑)

ちなみに笠森観音の黒招き猫は、色が黒いことがポイントです。

黒い色をしているということは「厄除け」を意味するのです。

ちなみに、赤い色だと「疫病除け」になるとのことで、招き猫一つとってもいろいろと意味があるのです。

 

それからこのお店、オンラインショップも出しているんですよね。

縁起家 古壺 オンラインショップ

オンラインでご利益を買えるという素晴らしい時代に我々は生きているのです。南無阿弥陀仏……。

 

日本唯一の四方懸造り「笠森寺 観音堂」

さて、いよいよお待ちかねの観音堂です。

この建物は四方懸造り(しほうかけづくり)といいまして、大変珍しい造りで建造されたものらしいです。

こちらは旧国宝、今でいうところの重要文化財であり、超貴重な建物であります。

そして、なんと!

この「四方懸造り」が見られる場所は、日本では笠森寺の観音堂だけのようです。

建築の話になるのですが、「懸造」という構法があるらしいです。

懸造(かけづくり)は、崖などの高低差が大きい土地に、長い柱や貫で床下を固定してその上に建物を建てる建築様式。主に寺社建築に用いられる。崖造、舞台造などとも呼ばれる。
京都清水寺を始め、全国各地にこの工法が用いられ多くの寺社が建設されている。束石の上に柱を立て、束柱相互を貫で縫う工法である。床下が弾力性のあるラーメン状の架構となり、きわめて強固である。清水寺は、1633年建造で、束柱の点検・修理は年中行われ、舞台床も頻繁に替えられることで今なお健在である。

懸造

この「懸造」って崖に建つ建物によくみられる造りみたいです。

例えば山の中腹にある別荘地とかがわかりやすいかもしれません。

崖っぷちに長い柱で支えて建ってる別荘とかよく見かけますよね。

(ちょっと違うかもしれませんが、ニュアンス的って意味ね)

 

しかし「四方懸造」は、崖の前面だけでなく、東西南北の四方が懸造になっているのです。

というのも、この笠森寺観音堂は、山の頂上の岩山に立っているので四方を柱で支えざるをえないというわけです。

こちらの笠森観音のパンフに書かれた安藤広重の浮世絵を見るとわかりやすいです。

岩の上に「カポって」感じで乗っかってますよね。

ていうか、これ誇張し過ぎですよね。苦笑

 

誇張してない笠森観音像は、こんな感じです。

こうしてみると、さほど岩の上に乗ってる感はないですが、でも、ちゃんと乗ってます。

地震がきたら崩れそうに見えますが、この工法はかなり堅牢みたいです。

それもそのはずで、61本もの柱に支えられているそうです。

しかし昔の人、よく建てましたね~。

 

というわけでさっそく観音堂に行ってみましょう。

まずは手水舎で手を清めます。

観音堂は土足厳禁です。

ここからは靴を脱いで、備え付けのビニル袋にいれて上がります。

 

階段は全部で75段あるらしいですが、数える余裕などありません。

けっこうな段数で、しかも急なので、思ったよりも登るのが大変です。

 

しかも、階段の外側の手すりが低いんですよね。

怖いなあと思いながら、なるべく中央の手すりを持って登って行きます。

 

階段を登り切りますと、窓口が現れます。

ここからは有料みたいですね。

大人300円、小中学生は100円です。

 

よくみると御朱印もあるよって張り紙がありますね。

僕は御朱印集めはしてませんが、集めている人はここまで階段を登って来ないといけませんね。

 

坂東三十三観音

本堂の中は撮影禁止なので写真はありません。

そのかわり回廊部分は撮影OKです。

すると、縁起がありました。

よく読みますと、「坂東三十一番の観世音霊場」とありますね。

「坂東」というのは古代の関東の呼び名です。

「霊場」というのは神聖な場所のことを指すので、今でいうパワースポットですかね。(ちょっと違うか?)

ということは笠森観音は関東地方にある観音像をまつったお寺のうちの31番目ということですね。

 

調べますと全部で33個あるらしいんですよ。

これを称して「坂東三十三観音」と呼ぶようです。

 

これに似たようなものが関西にもあって、それを「西国三十三観音」と呼ぶようです。

また、「秩父三十四観音」というものもあり、日本全国で100の観音寺があるようです。

そしてこれらを「日本百観音」と呼ぶらしいです。

 

むかしむかし、「観音巡礼」という風習があったようです。

「西国三十三観音」「坂東三十三観音」「秩父三十四観音」を巡礼するのです。

巡礼ってのは旅をしながらお参りするってことですね。

これは、江戸時代になると庶民にまで普及して大流行したみたいです。

そうそう、パワスポ巡りみたいなもんです。(ちょっと違うか?)

観音堂の回廊「蓮華廊」は高所恐怖症の人はやめたほうがいい

さて、観音堂の回廊を歩いて本堂へ向かいます。

写真中央の柱に張り紙がある通り、お堂の中は撮影禁止ですので写真はありません。

しかし、この回廊、とても見晴らしがいいです。

こちらは、先ほどき来た山門を望む風景です。

体中の悪いものが雲散霧消するかの如く、とてもすがすがしい気持ちになります。

しかし、困ったことに手摺がとても低いんですよね。

あまり身を乗り出すと、クラッとして転落、なんて想像してしまいそうなほど低い。

なので高所恐怖症の人は、あまり手摺の近くは歩かないほうがいいですよ。

ホントに。苦笑

ちなみにこの回廊は「蓮華廊」と呼ばれているようです。

なぜ蓮華かというと、むかしは観音堂が乗っかった岩山の形が蓮華のようだったからみたいです。

今は、地震で崩れてしまったためコンクリートで補強されているので、その形跡はありません。

ちなみに最澄は岩山を見て「宝の形をしていた」と言っていたそうです。

最澄の時代は「宝珠」の形をしていたのかもしれません。

 

長南町・笠森観音へのアクセス

読んでいただいてお分かりの通り、ここは絶対に訪れた方が良い場所です。

あの最澄さんが見つけた場所ですから、これはもう100%完璧なパワースポットに間違いありません。笑

 

初詣の参拝客も多いみたいですが、なるほどなって思います。

大晦日の夜に訪れたいなぁという雰囲気を持っております。(なんそれ?)

 

さて、笠森観音ですが、ここには町営の駐車場があります。

ちらっと見ただけですが、入口のわきにも駐車スペースがあるので割と台数に余裕があります。

それでも、ぼくらが行ったお盆休みは、夕方だったのにかなりの車が駐車してありました。

やっぱり人気スポットみたいですね。

ちなみに行き方ですが、409号線を車で走っていると、笠森観音の大きな看板が出てくるので迷うことはないでしょう。

 

また入場できる時間は、4月~9月は 8時~16時半、10月~3月は 8時~16時となります。

夕方遅く行くと閉まっちゃうのと、雨の日とか荒れた天気の日も閉めちゃうようですのご注意ください。

以上、笠森観音のご紹介でした。

 

天台宗  別格大本山 大悲山 楠光院 笠森寺(坂東三十三観音第31番)

重要文化財:観音堂・鋳銅唐草文釣燈籠
開基:伝・最澄
本尊:十一面観音
創建:伝・延暦3年(784年)

 

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