先日、NHKでアテルイとモレのドラマがやっていたので前篇・後篇ともに見てしまった。
以前に東北旅行で行った奥松島縄文村歴史資料館で流している、
縄文の生活を紹介する簡易的な映画の中の主人公の名前もアテルイだった気がするけど、
今回のアテルイとはまったく関係ありません。笑
蝦夷の英雄アテルイ(阿弖流為)とモレ(母禮)
そのアテルイが最後に処刑される時に、田村麻呂は
「彼らを生かして蝦夷のまとめ役として利用する事」
を朝廷に提案するのですが、桓武天皇に反対され結局処刑されてしまいます。
色々調べてみると反対したのは天皇でなく、朝廷の貴族たちのようなのですね。
なんでNHKは「桓武天皇の反対により・・・」という演出にしたのでしょうか?
やっぱりNHKは左翼思想に染まっているのでしょうか。苦笑
まあ、そんな事はいいとして、アテルイとモレとは蝦夷の英雄。
ところで蝦夷とは何でしょうか?
学校でも習ったと思いますが、大和朝廷が東へとその勢力を伸ばす際に、それに抵抗した原住民が蝦夷です。
恐らく、日本の原住民といっても支障ないと思われます。
蝦夷の「夷」の文字は卑しいという意味
ところで、蝦夷の「夷」の文字は、卑しい意味が含まれているとされています。
元は中国の言葉ですが、
東夷、北狄、西戎、南蛮と言って、
自国を取り囲む東西南北の敵国を蔑んで呼ぶ言葉、
つまり異民族への蔑称ですが、
このうちの「東」に当たる「東夷」の「夷」なのです。(中国から見て日本は東夷である。)
千葉県に「いすみ市」という市がありますが、もともとは「夷隅郡」だったわけですが、
この「夷」の文字を嫌ってひらがなで「いすみ」とした経緯があると聞きます。
「夷」の文字はエビス?
しかし、この「夷」の文字は別の読み方もあり、それは「えびす」です。
えびすといえば、恵比寿様、そしてそれはコトシロヌシを指します。
コトシロヌシはオオクニヌシの子供。
オオクニヌシ(大国主)は言わずもがな、出雲のボス。
なぜ、出雲のボスの子供がエビスなのか気になりますね。
しかし、エビスという言葉を何度か発音してみると、非常に「えみし」に似ていることに気が付きます。
「えみし」というのは朝廷から言わせると得体の知れない野蛮な「外国の民族」です。
恵比寿様も釣竿をもっていることからわかるように海の神であり、
それは海に囲まれた日本から見れば外国の神の象徴的スタイルなのかもしれません。
朝廷から見れば異民族である出雲のボス、
そして、海の神つまり外国から来た神であった「恵比寿様」が同一視されたのでしょう。
とすれば、やはり出雲はエビス=蝦夷であり、日本の原住民の国だったのではないでしょうか?
発音でわかる地名の由来
千葉県には、そして前出のいすみ市にも出雲系の神社もあり、
さかのぼれば出雲と同じ部族の祖先も多いと思うのです。
言葉や発音で追ってみても、
「出雲」 → 「いじみ」 → 「いすみ」 となり、
それで「夷」の文字を使ったのではないだろうか、とも思うのです。笑
「言葉が似ているから云々」という理論は一見してバカバカしいようにも聞こえるかもしれませんが、
昔々は口伝がメインだった時代が長かったと考えると、けっこう使える理論だと思うんですけどね。
あと、アテルイはアクル王であるという説もありますが、言葉的にも両者は似てます。
アクル王といえば前出のいすみ市の隣にアビルという地名がありますが、
その地域はヤマトタケルの伝説もあるので、ますます同一のものではないかと思わせる何かがありそうです。
「アテルイ」 → 「アクル」 → 「アビル」
なんてね。
古代史探求は近い歴史から遡るのも方法の一つ?
思うに、歴史において「何が事実か?」という問題は時代が進むにつれてどんどん闇に包まれていきます。
古墳であるとか、そういう物的証拠が見つかることで新たにわかることもあるとは思いますが、
歴史は人が伝えていくものであり、その意味で歴史は人々の死とともに失われていくのです。
例えば、ほんの少し昔、明治時代に遡れば、それだけで新たにわかる歴史的事実もぐんと増えるのではないでしょうか。
今の時代から見た古墳時代と、明治時代から見た古墳時代は当たり前ですが、明治時代から見た古墳時代の方が新しいからです。
江戸時代なんかに遡ったら、今よりもっと色々なことがわかるのではないでしょうか。
なんて、考えてみると、古代史を探求するには、
いきなり古代の出来事を調べるのではなくて、
意外と江戸時代や室町時代などを調べてみると、
思わぬ手掛かりがつかめるのかもしれないなと思ったのでした。